私は以前、稽留流産の手術をしました。
その時のことについて記録を残しておきます。
子宮筋腫の手術をしてくれた医師に相談
2018年7月頃、新婚旅行も終わり、子供がほしいと思うようになりました。
ただ私は2014年に子宮筋腫でUAEという手術を受けており、手術後に「妊娠を希望するようになったら一応連絡ください」と医師に言われていました。
UAE手術を受けた時の記録はこちら
私が手術を受けた岡山UAEセンターは、HPから医師にメールを送れるようになっています。
そこで妊娠希望の旨をメールしてみました。
すると2日後の2018年8月20日(月)に、医師からこのような返信が届きました。
文面から分かるように、本当に優しい先生です。
このメールをいただき、早く先生に嬉しい報告をしたいと思いました。
妊娠
翌月の2018年9月7日(金)
妊娠検査薬で陽性反応が出て、主人と一緒に大喜びしました。
そして翌週の2018年9月12日(水)
かかりつけの産婦人科を受診しました。
ちゃんと胎嚢(赤ちゃんを包む袋)が確認できて感動しました。
この時は5w3dでした。
ただ、まだ赤ちゃんが見えないから2週間後に受診になりました。
それから仕事は通常通りフルでしていましたが、いつも胃がムカムカしている状態で、体もだるかったです。
夜中にもトイレに起きるようになって体は辛かったですが、「これがつわりっていうやつかな」と嬉しくもありました。
稽留流産の診断
2週間後の2018年9月26日(水)の診察時。
7w3dですが、この時も赤ちゃんは見えませんでした。
子宮は順調に大きくなっているのに、赤ちゃんがいないのです。
医師から「これは稽留流産でしょう。いつまでも待ってても仕方ないので、来週手術をしましょう」と言われました。
自分の妊娠に異常があるなんて思ってもみなかったので、すぐに受け入れらず、「あと一週間待ってみたいです」とお願いしました。
その日から毎日毎日、稽留流産についてスマホで検索しました。
すると8週目で赤ちゃんを確認できたという投稿を見つけました。
「まだ望みはある」と自分に言い聞かせるようにして過ごしました。
しかし一週間後の2019年10月3日(水)の診察でも赤ちゃんは見えませんでした。
医師に「やっぱり見えませんね。このクリニックでは手術ができないので、紹介状を書きますね」と言われました。
その時に希望の病院を聞かれたのですが、「特にないです」と答えると、「ではいつもお願いしている病院にしますね。その先生はおじいちゃんでもうお産は受け付けてないんだけど、とっても腕のいい先生だから」と言われました。この時私は腕が震えているおじいちゃんを想像してしまい、怖くなった私は別の病院に行くことにしました。
他の病院に初診として受診すれば、もう一週間待ってもらえるとも思いました。
この時点でもまだ望みを捨てきれてなかったのです。
ちょうどその頃、妊娠中の友達がいて、その子が通っている病院に行ってみることにしました。
先生が優しくてオススメと聞いていたのです。
しかし、その病院でも赤ちゃんは見えませんでした。
そしてやはり初診なので、一週間経過観察になりました。
赤ちゃんが見えなかったのは辛かったですが、この辺りからようやく私も受け入れつつあったと思います。
セカンドオピニオンは、患者の精神面での受け入れの一助になると思いました。
早期流産の種類
- 稽留流産
妊娠22 週未満に胎芽あるいは胎児が子宮内で死亡後、症状がなく子宮内に停滞している状態。 - 遷延流産
出血などの症状があり、かなりの期間、胎芽あるいは胎児が子宮内に留まっている状態。 - 進行流産
胎芽あるいは胎児とその附属物が子宮外に排出されてきている状態。以下の「完全流産」と「不全流産」にわけられる。 - 完全流産
胎芽あるいは胎児とその附属物が完全に排出された状態。完全流産の多くの場合、子宮は十分に収縮し、子宮口は閉鎖する。 - 不全流産
胎芽あるいは胎児および附属物が完全に排出されず、一部が子宮内に残存し、子宮が十分に収縮せず、子宮口も閉鎖しないで、出血などの症状が持続している状態。
日本産婦人科医会HPより
早期流産は妊娠全体の15~20%程度発生するといわれています。
10人妊娠すれば、そのうちの1人か2人は早期流産の可能性があるということです。
このことからも、早期流産は稀なケースではありません。
またその原因の大部分(70~80%程度)は、受精卵から細胞分裂する過程での異常であり、母親の生活習慣や飲酒、喫煙、服薬等は影響しないという報告があります。
ただし、流産が繰り返し起こった場合は、母親か父親に医学的な原因が隠れているかもしれません。
手術をするか自然排出を待つか
一週間後の2018年10月10日(水)の診察。
この時9w3dです。
思っていた通り、やはり赤ちゃんは見えませんでした。
そして手術についての説明を聞きました。
- 手術の場合
子宮の内容物をかき出す手術。
手術時間は15分~20分程度ですが、手術前に子宮口を開く必要があり、それに3時間くらいかかります。 - 自然排出の場合
手術をせずに、自然に子宮内容物が出てくるのを待ちます。
いつ出てくるかは分かりませんし、出てくる時に痛みと大量の出血を伴います。
しかし手術や麻酔に関するトラブルはありません。
日本産婦人科医会HPより
私は手術を選択しました。
フルで仕事をしているので、仕事中に大量出血や強い痛みが出るのは困ります。
それがいつくるか分からないというのが問題ですし、恐怖もあるからです。
ただ、もう自然排出が起きてもおかしくない状況らしく、手術は早い方がいいとのことで3日後に手術を受けることにしました。
手術前の精神状態(主人への苛立ち)
手術前日の2018年10月12日(金)の夜、友達とごはんを食べに行きました。
その友達は妊娠中でしたが、稽留流産の経験もありました。
この時はもう流産について受け入れられていたし、目の前にいる友達は稽留流産後に妊娠しているので、気持ちは前向きになっていて楽しくごはんを食べました。
自分でも、客観的に「私は受け入れられている。大丈夫だ」と思っていました。
なのに翌日の2018年10月13日(土)の朝。
前日のことが嘘のように気分が沈んでいました。
そして隣にいる主人にかなり腹が立ちました。
手術当日だというのに、出発ギリギリまでいつも通りダラダラと過ごしているのです。
こっちは辛い気持ちなのに洗濯等の家事をこなしています。
それなのに手伝いもしません。
「手伝って」と言えば済むことなのかもしれませんが、主人に甘える気にもなれず、自発的に動かない姿勢に腹が立ちました。
そして病院までの車中。
どう見てもイライラしている私に「今夜ごはん作るのしんどいだろうし、外食にする?〇〇(主人の友達)の家族と一緒にどう?誘ってみようか?」と提案してきました。
主人としては私を気遣い、夕飯の支度をしなくていいようにと思ったのでしょう。
主人は料理ができないし、なるべく楽しく過ごせるように友達との外食を提案したのでしょう。
しかし、その友達の奥さんは、その時妊婦でした。
私としては、流産の手術後に妊婦さんと過ごすなんて辛すぎます。
主人は相手の気持ちが分からないのかと性格を疑いました。
無神経だと感じ、無性に腹が立ち、窓の外を見ながら涙が溢れました。
何も答えない私に「どうする?」と聞いてきました(泣いていることには気づいてないようです)。
「妊婦さんとごはん食べる気分になれない」と答えると、「そうだね。分かった」と言いました。
(いや最初から分かれよ)と心の中でつっこみました。
まぁでも今考えると、主人に悪気はなかったと思います。
前日は妊婦の友達と楽しくごはん食べてるし、寝る前までいつも通りだったので。
まさか一夜明けて、別人のような精神状態になってるとは思わないですよね^^;
手術前の処置と精神状態
9:00
病院に到着しましたが、主人にはそのまま帰ってもらいました。
付き添いは特に必要ないと看護師さんに言われていたし、主人には仕事もありますし、ただやることもないのに一緒に待ってもらうのも申し訳ないとも思ったので。
そして手術前の診察。
最後にもう一度確認してもらいましたが、やはり赤ちゃんは見えませんでした。
私は分娩の経験がないため子宮頸管を開く必要があり、頸管拡張という処置をしました。
これは子宮口に棒状の器具を入れ、時間をかけて子宮口を開くというもの。
この処置がすごく怖くて、もう二度とやりたくないと思いました。
器具を体の奥まで押し込まれている感覚でした。
痛みも少しありますが、それよりも不快感が強かったです。
診察台でやる処置なので、腰にあるカーテンの向こうで何が行われているか見えないというのも、怖いという気持ちを増幅させたと思います。
処置自体は数分で終わりますが、心の中では「こわいこわいこわいこわい。早く終わって。助けて。嫌。なんで私が。やめてやめて」といろんな気持ちがごちゃごちゃしていました。
その後は病室のベッドで、手術まで3時間くらい待機します。
暇つぶしに持ってきた本を読もうとしますが、全然頭に入りませんでした。
本を眺める→ぼーっとする→涙が出る→気分を変えようと本を眺める→ぼーっとする→涙が出る→………の繰り返しです。
11:30
点滴が始まりました。
私の担当をしてくれた看護師さんが、点滴の処置をしながら「私も過去に2回流産したの」と話し始めました。
今ではそれを乗り越え、4人もお子さんがいるそうです。
この時の私は、主人の付き添いがないこともあり、一人で戦わないといけないと孤独を感じていました。
そして先生や看護師さんの前では気丈に振る舞っていました。
しかしこの看護師さんの優しさにふれ、涙が溢れて止まらなくなりました。
看護師さんは優しく慰めてくれました。
私は泣きながら「やっぱり私は辛いんだ」と再認識していました。
それと同時に、この看護師さんはこの辛さを2回も経験していて、しかもその後ちゃんと妊娠できていて、4人も産んでいるんだと安心できました。
手術
12:40
午前の診察が終わり、手術が始まることになりました。
この時気づいたのですが、私の病室のすぐ隣が手術室になっていました。
手術台へは自分で上がりました。
麻酔が開始され、すぐに意識がなくなりました。
手術自体は10分もかからなかったようです。
そしてまもなく意識が戻りました。
13:30
主人に「終わった」とLINEしました。
主人は急いで仕事を片付けてくれたようで、15時に来てくれました。
主人を待つ間は心細く、早く顔が見たいと思っていましたが、主人の前では心配かけないよう明るく振る舞ってしまいました。
主人も採血(風疹抗体検査)
この時主人にも採血してもらいました。
風疹の抗体検査をしてもらいたかったので、主人と病院にあらかじめお願いしてあったのです。
(私の検査用の血液は点滴のタイミングで採血してもらっていました)
妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、先天性風疹症候群の子供が生まれてくる可能性が高くなります。
先天性風疹症候群の症状
3 大症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。
それ以外にも網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球などが発生する可能性があります。
そのため厚生労働省は、妊娠可能女性とその家族への予防接種を奨励しています。
ワクチン接種は2回行うのが推奨されています。
平成2年4月2日以降に生まれた人は2回受けていますが、昭和54年4月2日~平成2年4月1日に生まれた人は1回、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は0回です。
私も主人も1回しかワクチン接種をしていないことになります。
そこで抗体検査をして、風疹免疫の有無を確認し、免疫がなければワクチン接種をしようと思っていました。
多くの自治体で、風疹の抗体検査を無料で受けられます。
私も主人も無料で受けることができました。
手術後の精神状態
麻酔が完全に切れるのを待って、最後の診察を受け、薬を貰って帰宅しました。
この時は抗生物質・子宮収縮剤・止血剤の3種類が処方されました。
かき出した子宮内容物は検査にまわし、今回の流産の原因が私にあるかどうか調べるそうです。
麻酔は完全に抜けたはずですが、帰宅しても体がだるく、翌日も何度も眠気が襲ってきました。
手術の疲れもあったのだろうと思います。
翌日は日曜日だったのでゆっくりできましたが、月曜日から昼は仕事・夜は鬱という日々になりました。
職場では気が張ってるのか、いつも通り仕事しましたが、夜になると涙が溢れてどうしようもないのです。
主人はそんな私にどうすればいいのか分からないようでした。
毎晩泣く状態が一週間くらい経ち、少し落ち着いてきた頃「私、鬱かも」と主人に言うと「俺もそう思う」という答えでした。
この瞬間、少し心が落ち着いた感じがしました。
客観的に自分のことを理解できたからかもしれませんし、主人も分かっていながらそっとしておいてくれたんだと思えたからかもしれません。
そして少しずつですが、ゆっくりと元の精神状態に戻っていきました。
まとめ
稽留流産は誰にでも起こりうる流産で、一定の確率で発現することが分かっています。
しかもそれは夫婦のせいではありません。
それが頭では分かっていても、「あの時のあれが悪かったのかな」とつい色々考えてしまい、自分の責めてしまいます。
それでも少しずつ体が落ち着き、心も元に戻っていきました。
そして今は次の妊娠に向けて前向きに考えられるようになっています。
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